季節と睡眠
2016/11/10

vol.08 光でより良い秋の夜長を

だんだんと日の暮れが早まり、「秋の夜長」の季節ですね。 眠りに就くまでの時間、寝ついてからの時間、心地よい眠りのための環境を整えるとき、「光」はとても重要な要素になります。 眠っている間には体のメンテナンスを行うために私たちの体は活動しています。寝がえりやこれまでにお話しした体温の低下のほかに、成長ホルモンなどの分泌も行われています。睡眠リズムを安定させるホルモン「メラトニン」は、入眠前から分泌が始まりますが、500ルクス(通常の室内照明は約150~500ルクス)以上の光、あるいは波長の短い(青白い)光によって分泌されにくくなることがわかっています。夜はこうこうと光る蛍光灯よりも、炎のような赤っぽい暖色系の明かりや、直接光が目に入らない間接照明として用いる方が眠りには望ましいのです。 そして、明るい光は交感神経を覚醒させる効果があるため、よりよい入眠のためには、寝ようと思った時に突然照明を消すのではなく、時間とともに一か所、二か所と少しづつ消灯しながら、リラックスした「秋の夜長」を過ごすのが理想的です。

就寝中は消灯しますが真っ暗だと心理的に不安感を持ちやすく、また、夜中に起きた時に周りが見えずに転んで危ないこともあります。寝ている間の明るさは、何となく室内が見える程度(0.3ルクス程度)にするのがおすすめです。夜中、トイレ等で起きた際につける照明が明る過ぎると目が覚めてしまい、その後眠りに入りづらいことがあります。そうならないよう、足元が確認できる範囲を照らす最小限の明るさ(10ルクス程度)に設定しておくのがよいでしょう。






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この生活知識の執筆者

鍛治 恵

鍛治 恵かじめぐみ

  • NPO睡眠文化研究会事務局長
  • 睡眠改善インストラクター

プロフィール

1989年、ロフテー株式会社に入社。快眠スタジオに配属後、睡眠文化の調査研究業務に従事。睡眠文化研究所の設立にともない研究所に異動。2009年ロフテー株式会社を退社し、フリーで睡眠文化研究を企画する。
著書に「ぐっすり。」(新潮社2013年)
NPO法人睡眠文化研究会
鍛治オフィシャルサイト