vol.05 入眠儀式
例年にないほどの猛暑となった夏が過ぎ、秋も夏同様突然やってきましたね。ついこの間まで暑苦しい存在だったブランケットや布団から出たくない季節が もうすぐそこまで 来ているという季節の変わり方です。
眠りに入ろうとする時、体温が下がって私たちの体は眠りへの準備をしています、と以前このコラムでもお話ししましたが、寒くなると体の末端が冷えて、手足などからの放熱がうまくいかず深部体温がさがりにくくなるのです。靴下を履いていないと冷えて寝つけないという女性も多いですが、お風呂上りなどから早めに足先を温めておくよう、室内で履くものから工夫をするとより快眠につながります。
体温の変化と同時に眠りへの準備として、無意識にあるいは意識してとる行為を「入 眠儀式」と呼びます。何かいつもの決まったプロセスを踏むことで、睡眠へ向かって脳と心の準備がなされるのです。入眠儀式に用いたり存在するモノを「眠り小物」と呼んでいますが、スヌーピーに登場するライナスがいつも持ち歩く毛布や、枕元の本、ベッドに入って聴く音楽など様々です。人の五感で分けてみると、抱き枕やぬいぐるみなど「触覚、嗅覚」といった感覚に訴えるものを選ぶ人が最も多いようですが、単一の感覚より触覚と聴覚などという組み合わせで、人は存在感をより強く感じ安心するという研究結果があります。睡眠という無防備な状態に入るとき、触覚・嗅覚を通じて得られる安心感が大きく作用しているようです。よりよい「準備」を習慣にすることが、寒さに向かう快眠法の一つと言えましょう。
どうしても夏は睡眠不足になりがちです。午後1時くらいから3時くらいまでの時間帯で20分程度の長さの昼寝で補いましょう。長時間や午後3時以降の昼寝をとると、 熟睡状態に入ったところから目覚めなければならないので、すっきりするどころか眠気が残って逆効果。夜の睡眠にも影響が出てしまいます。また、ベッドで横になってしまうと体温が下がって深い眠りに入ってしまうので気をつけましょう。短時間の昼寝には姿勢を水平にしないこともポイントですので、ベットでなくカウチがお奨めです。
この生活知識の執筆者
鍛治 恵かじめぐみ
- NPO睡眠文化研究会事務局長
- 睡眠改善インストラクター
プロフィール
1989年、ロフテー株式会社に入社。快眠スタジオに配属後、睡眠文化の調査研究業務に従事。睡眠文化研究所の設立にともない研究所に異動。2009年ロフテー株式会社を退社し、フリーで睡眠文化研究を企画する。
著書に「ぐっすり。」(新潮社2013年)
NPO法人睡眠文化研究会
鍛治オフィシャルサイト