季節と睡眠
2015/07/29

vol.04 真夏の快眠

寝具選び 菊屋 梅雨が明けて、いよいよ夏本番です。これまでのコラムでお話ししてきたように、眠くなるには、深部体温が下がって体の表面から放熱するプロセスが必要です。ところが、夏に室温が高いままですと、汗として体から蒸発しにくくなってしまいます。まずは、家全体に熱を入れず、室温を上げない根本的な工夫が大切です。
そこで注目されている工夫が、家の壁面や屋根を緑化することで部屋を涼しく保つ方法。
その一つが「緑のカーテン」。夏の強い日差しを遮るだけでなく、葉の蒸散効果とその気化熱で周囲の温度を下げてくれるため、すだれやシェードなどをかけた部屋より数度室温が下がる効果があるという報告もあります。寝室の窓の外側に配置して、ツルがカーテン状に伸びるように育てましょう。

日射を遮蔽し夜間の室温が下げられれば、冷たい外気を取り入れて蚊帳を吊って眠るのも夏ならではの快眠でしょう。蚊帳は蚊を避けて眠れるという本来の効果のほかに、中に入って横になると、内部のほどよい狭さによって包まれた感覚をもたらしリラックス感が得られるようで、スムーズな入眠につながるようです。夜になっても気温が下がらない熱帯夜の使い方、あるいは現代的な使い方としては、蚊帳を吊ってエアコンをかけて眠る方法です。エアコンからの直接の風や冷気をほどよくマイルドにしてくれます。

どうしても夏は睡眠不足になりがちです。午後1時くらいから3時くらいまでの時間帯で20分程度の長さの昼寝で補いましょう。長時間や午後3時以降の昼寝をとると、 熟睡状態に入ったところから目覚めなければならないので、すっきりするどころか眠気が残って逆効果。夜の睡眠にも影響が出てしまいます。また、ベッドで横になってしまうと体温が下がって深い眠りに入ってしまうので気をつけましょう。短時間の昼寝には姿勢を水平にしないこともポイントですので、ベットでなくカウチがお奨めです。

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この生活知識の執筆者

鍛治 恵

鍛治 恵かじめぐみ

  • NPO睡眠文化研究会事務局長
  • 睡眠改善インストラクター

プロフィール

1989年、ロフテー株式会社に入社。快眠スタジオに配属後、睡眠文化の調査研究業務に従事。睡眠文化研究所の設立にともない研究所に異動。2009年ロフテー株式会社を退社し、フリーで睡眠文化研究を企画する。
著書に「ぐっすり。」(新潮社2013年)
NPO法人睡眠文化研究会
鍛治オフィシャルサイト